イライラや頭痛…生理に関係したお悩み、ありませんか?
生理前や生理中に起こる心と体の不調は、決して珍しいことではありません。しかし、症状がつらく日常生活に支障が出る場合には、治療の対象となることもあります。
月経に関する主なトラブル
月経困難症
生理中に、強い生理痛や腰痛、頭痛、吐き気などが現れる状態です。
PMS(月経前症候群)
生理前に、イライラ・むくみ・眠気・気分の落ち込みなどの症状が出ることがあります。
生理が始まると症状が軽くなったり、自然に消えるのが特徴です。
PMDD(月経前不快気分障害)
PMSの中でも、気分の落ち込み・怒り・不安感など精神的な症状がとても強く出て、日常生活に支障をきたす状態です。“心のPMS”ともいわれ、精神的にとてもつらい症状が現れます。
月経困難症とは
月経困難症は、月経痛や月経に関連する症状を指します。最も多い月経痛(生理痛)は、子宮が経血を排出しようとして強く収縮することにより引き起こされる、下腹部痛や腰痛のことを指します。特に、毎回通学・通勤に支障をきたしている、寝込んでしまうなど、日常生活に影響を及ぼしている場合は「月経困難症」と診断され、適切な治療が必要となります。スポーツ庁委託事業である「月経関連疾患と学校生活」という中学生・高校生対象のアンケートでは、80%の方が月経による月経・運動への影響があると答えており、そのうち43%の方が痛みを我慢していると答えました。
月経痛の原因は色々な要素が指摘されていますが、子宮内膜が剥がれ落ちる際の痛み物質(プロスタグランジン)の産生によるもの、思春期女性の未発達な子宮の出口の狭さにより、月経血が排出されにくいというもの等がいわれております。痛みの程度は人によって異なりますが、鎮痛剤によって痛みをコントロールできることも多く、外来では飲み方のコツ等もお伝えします。
また、30代、40代とご年齢を重ねるたびに症状が強くなることがあります。まずは、何か原因となる疾患がないかの確認をさせていただき、その上でその方の辛さに合わせた治療法をご提示します。
月経困難症は、月経痛の他にも嘔吐やふらつき、頭痛、食欲不振、気分の落ち込みなど、心身共に色々な症状が起こります。
治療
まずは原因となる疾患の有無を確認します。器質性月経困難症(婦人科疾患がベースにあり、月経困難症を起こしているもの)の場合は原因となる病気の治療を、機能性月経困難症(特に月経困難症を起こし得る婦人科疾患はないけれど月経困難症の症状が出ているもの)でしたら症状・状態に応じた治療を優先します。
痛み止め(鎮痛剤)
月経痛の原因のひとつとされている子宮内膜が剥がれ落ちる際の痛み物質(プロスタグランジン)の産生による痛みは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬;ロキソニンなど)により緩和することができます。
低用量ピル・黄体ホルモン薬
どちらの薬も、子宮内膜が薄くなることで、子宮内膜が剥がれ落ちる際の痛み物質(プロスタグランジン)の産生が減少するため、痛みの改善効果が期待できます。低用量ピルの内服ができない方でも黄体ホルモン薬を使用することができます。安心して内服していただけるよう、しっかりとご理解いただき、御本人が希望された場合に行います。
子宮内避妊具(ミレーナ)
ミレーナと呼ばれる子宮内避妊具を使用すると、子宮内膜の過剰な増殖を防ぎ、月経困難症や過多月経の改善に期待できます。ミレーナとは黄体ホルモンを分泌し続けることで、高い避妊効果が最長5年間も得られる子宮内避妊具です。
漢方
漢方医学は体質を改善し、複数の症状を和らげる効果が期待できます。患者様の体質や症状に考慮しながら、当帰芍薬散、桂皮茯苓丸、加味逍遥散をはじめとする治療をします。低用量ピルなどの治療ができない方や抵抗がある方に勧められます。
月経前症候群(PMS)・
月経前不快気分障害(PMDD)
症状は生理前の3~10日間に現れ、生理が始まると症状が軽減または消失する状態です。主な症状には、腹部の張り、腰痛、乳房の痛み、頭痛、手足や顔のむくみ、イライラ、不安感、抑うつなどがあります。これらの症状は心身の両面に現れやすい傾向があります。生理がある女性の5~10%がPMSまたはPMDDであると言われています。
治療
ホルモン療法や薬物療法、その他の治療法の中から、患者様の症状や状態、希望を考慮して選択していきます。
低用量ピル・黄体ホルモン薬
ホルモン療法としては、女性ホルモンの変動を落ち着かせる低用量ピルが勧められます。女性ホルモンの大きな波を抑えることで、PMSやPMDDの症状が緩和する効果が期待できます。
漢方
漢方医学は体質を改善し、複数の症状を和らげる効果が期待できます。患者様の体質や症状に考慮しながら、当帰芍薬散、桂皮茯苓丸、加味逍遥散をはじめとする治療をします。低用量ピルなどの治療ができない方や抵抗がある方に勧められます。
30代でPMSがひどくなった?
年齢とPMSの関係について
ご年齢やライフステージの変化(妊娠、出産、育児、仕事など)によってライフスタイルにも変化が生じると、もともとなかったPMSが起こることや、PMSの症状が強くなる場合があります(もちろん逆もあります)。症状が辛い場合は、ご年代や状況に合わせた治療を行ってまいりますので、是非ご相談ください。